退職願は予定より1週間程遅れて自宅へ到着した。人事が記載した郵便番号が間違っていたようだが、配達員が何とか届けてくれたようである。退職が決まった後は「本当に退職という選択が正しかったのか?」という葛藤が何度も生まれ鬱々した気分になるものの、依然よりか心なしか気持ちが晴れやかになった気がする。退職願と秘密保持契約にサインし、IDカードや携帯電話、名刺、医師の診断書(休職の延長)を返送した。
それらが人事に届けば次に健保等の書類が送付されるはずである。自分が評価されていないと思っているが、部署の人間が最後に面談を行いたい等の申し入れがあったら、病状が改善してからにして欲しいと言うしかない。100時間以上の残業(違法)が理由とは言え、この数カ月迷惑を掛けて何を言われるのか分かったものではない。というか彼らと話すことはもう何もない。傷が増え病状悪化に拍車が掛かるだけなのだ。私に出来ることはもうなく、後は向こうの手続きを待つだけである。
次に就職を考えなければいけない。療養中に他の企業と面接を試みてみたが精神が安定せず難しかった。
倒れる直前にも月100時間以上の残業(違法)に心身の限界を感じていたので、幾つか転職先を探して接触していたのだが、こちらが途中で倒れてしまったため、有耶無耶になっていた。仮にその転職先と縁が切れてしまっていても(というより切れたと考える方が自然)今の会社は退職したい。それ程までこの会社から離れたい気持ちが強かった。実際に今の会社と繋がっている限り、何カ月経っても病状が改善に向かうとは一向に思えなかったし、服用する薬の量は増え続けている。
転職先が直ぐに見つからなくても先ず今の会社と縁を切り、病状を改善させてまた転職活動を行うつもりであった。休職は傷病手当があり金銭的な不安はなかったが、休職という選択が本当に正しかったかどうかは分からない。世間の目を気にせず直ぐに退職して、転職活動していればここまで病状は悪化していなかったかもしれないとも考える。復職前提があり、常にあの会社のことを意識しなければいけないという状況が鬱を進行させた気がする。
勿論、休職して別の部署で働くという選択肢もあっただろう。しかし、具体的な提案は何も無かった。新しい部署が前の部署の隣だったら?考えるだけでゾッとした。とりあえず今は人事からの連絡を待つ。